-From 5-
「あのな……」
ゼルは半分呆れ顔で言った。
「確かに俺はレゾが好きではないが……原因はお前にもあるんだぞ?」
「と、言いますと?」
こいつはずるい。いつも、いつも。
知っているのに知らないふりをする。今だってそうだ。
「……知ってるだろ?お前がいつも俺にちょっかいかけてくるからだ」
「でもそれに反応するゼルガディスさんも……ねえ?」
片目を閉じて意地悪く笑うゼロスにゼルは言い返す言葉がない。
「それに、僕だって別にゼルガディスさんをいじめたくてちょっかいかけてるわけじゃありませんよ」
「嘘つけ。明らかにイジメ目的だろうが」
そう言ってゼルが視線をそらすと、ゼロスは素早くゼルの後ろに回り、後ろから優しく抱きしめた。
「違います。本当の理由は、そうやって怒るゼルガディスさんが見たいからです」
それを聞いたゼルは小さくため息をついた。
「……お前……俗に言う『M』ってやつか?」
「それを言うならゼルガディスさんでしょ?僕はどっちかと言うとSの方です」
「何言って……」
だが、ゼロスは最後まで言わせなかった。ゼルが全て言い終わる前に、唇を深く重ねる。
「ふ……あ……」
「だって僕、そーやって甘ーい声出すゼルガディスさん見てると、すごくドキドキするんです」
やっと唇を離されたゼルは対抗するように言った。
「魔族には心臓がないのにドキドキするのか?」
「はい。ドキドキするんです」
そう言うと、ゼロスはゼルのベルトをゆっくりと外した。
「おい!?」
「今夜は2人だけですし……ね?」
-To 歪愛-
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