-From 25-
「下級魔族……確かに今、下級魔族って言いましたね?」
「ええ言いましたよ、だから何だと言うんです?」
ばちっばちっ。
2人の間に火花が散った。
「あのー……俺は無視ですか」
「おお!忘れていたよゼルガディス!ごめんねゼルちゃん、私としたことがお前の存在をすっかり忘れて、こんな下級魔族に張り合っちゃった♪おじいちゃんってば、いけないね☆てへ☆」
しーん…………。
全員が沈黙した。
「あ……あの……」
リナがやっとの思いで口を開いた。
「何ですか小娘」
「こむ……ま、まあいいわ……あの……さっき、『ゼルちゃん』って聞こえたんだけど……」
「言いましたよゼルちゃんって」
「さらっと言うなぁっ!」
ゼルガディスのマッハパンチがレゾの顔面にクリーンヒットした。
「ふぇぇ〜ん、痛いよゼルちゃん、おじいちゃんに向かって何てことするの……?昔は『レゾおぢいちゃん、あ・そ・ぼ♪』とか言って駆け寄ってくる、バックに花畑が最高に似合っていた可愛い美少女……違った、美少年だったのに……」
「いつの話だそれは!?」
「ゼルガディスさん可愛い♪」
「アメリア……納得しないでくれ……」
レゾは落胆するゼルガディスを無視し、話を続けた。
「それなのに、7歳ぐらいの頃から急にひねくれちゃって……『一緒にお風呂入ろう☆』って言っただけなのに火炎球ぶつけてくるし、『お着替え手伝ってあげる☆』って言っただけなのに逃げ回るし、ちょっと拉致っただけなのにありったけの攻撃呪文ぶっ放してくるし……」
「いやそれ当たり前でしょ」
リナが突っ込んだが、レゾは更に話を続けた。
「ゼルちゃぁん、おじいちゃんは一体どんな悪いことをしたんだい……?おじいちゃんに責任があるんだったら全部直すから……遠慮無く正直に答えておくれ……」
「お前の存在自体が間違ってる」
「……………………」
ゼルガディスにあっさり指摘され、レゾは1回落ち込んだ。だが、すぐに立ち直り、拳をぐっと握りしめて言った。
「ふ……ふふふ……ふはははは!ゼルガディスがこうなったのも、全部あなたたちのせいですね!」
「どうしてあたしたちのせいなのよ!あんたの育て方が間違ってたんでしょ!」
「問答無用!こんな連中と一緒にしていたら、ゼルガディスが何をされるか分かりません!この子は責任持って私が育てます!」
「……へ?あっおい、レゾっ、離せ!何をする!?」
「あ…………」
アメリアが気付いたがすでに遅く、レゾはゼルガディスをどこかへ連れ去ってしまった。
『あーーーーーーーー!!』
全員の絶叫がこだました。
-To ゼルを取り戻せ!-
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