-From 17-
突然抱きついてきたガウリイを、ゼルガディスはびっくりして押しのけた。
「……何すんだよゼル〜…」
「それはこっちのセリフだ!ったく、どさくさに紛れて何をやっとるんだお前は!」
「ゼルの争奪」
「さらっと答えるなぁ!」
ゼルの裏拳が、ガウリイの顔面にクリーンヒットした。
「ゼロスとレゾも、いい加減離せ!第一、何で俺が男なんかのものにならないといけないんだ!」
「それはつまり…僕とゼルガディスさんの、どちらかが女なら別にいいということですね?」
「どう解釈したらそうなる!
……で……まさか……お前が女になるんじゃないだろうな?」
ゼルガディスは冗談で言ったつもりだった。だが。
「その逆です」
軽く受け流された上に、今のセリフを理解するのに約5秒かかった。
レゾも顔に冷や汗を一筋流してゼロスを見ている。
「えーと……その逆……ってぇのは……つまり……
……俺の方が女になる……って……ことか?」
「ご名答☆」
「気に入らん!」
そう叫んだのは、ゼルガディスでもゼロスでもガウリイでもなく、レゾだった。
「お前はさっき、『僕とゼルガディスさんの』と言ったな。それは『レゾとゼルガディスさんの』の間違いではないのか?」
「突っ込むところはそっち!?」
ゼルの正統派ツッコミは、誰にも聞いてもらえなかった。
「間違いではありませんよ。だって――えい!」
ばごっ!
いきなりゼロスの杖が、ゼルガディスの頭を直撃した。
「ああっ!なんてことを!」
レゾが叫んだ、そのとき。
っぱぁ!
まぶしいほどの光がゼルガディスを包み、そこにいたのは1人の……
女だった。
1部を大きなリボンでまとめてある銀色の細い髪。青みのかかったつぶらな瞳。フリルのついた桃色のドレス。細い腰。そして、ふくよかな胸……。
「ちょっとちょっとぉ!どーしてゼルの方があたしよりも胸が大きいのよ!」
リナは叫んだ。だが、その怒りもゼルガディスの姿を見ただけで薄れてしまった。
そう。そこにいたのは、金属の髪と青い岩肌は変わっていないものの、色仕掛けをすれば100%男をだませるほどの、細腰の美少女だったのだ。
「……ってぇ……何すんだゼロス……
……って、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!」
ゼルガディスの叫びがこだました。
「んー……やっぱりよく似合ってますねえ」
「おいっ!貴様、ゼルに何を……」
いつの間に復活したのやら。気がついたガウリイが叫んだ。
ゼロスはちっちっちっと指を左右に振り、
「ゼルガディスさんじゃありませんよ。
美しい美しいルルさんですよ♪」
『…………………』
一同は、ただ黙るしかなかった。
-To 我がうるわしのルル=グレイワーズ-
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