第21話:ルルさん再び!

作:夢見がちさん


-From 17-
 突然抱きついてきたガウリイを、ゼルガディスはびっくりして押しのけた。
 「……何すんだよゼル〜…」
 「それはこっちのセリフだ!ったく、どさくさに紛れて何をやっとるんだお前は!」
 「ゼルの争奪」
 「さらっと答えるなぁ!」
 ゼルの裏拳が、ガウリイの顔面にクリーンヒットした。
 「ゼロスとレゾも、いい加減離せ!第一、何で俺が男なんかのものにならないといけないんだ!」
 「それはつまり…僕とゼルガディスさんの、どちらかが女なら別にいいということですね?」
 「どう解釈したらそうなる!
  ……で……まさか……お前が女になるんじゃないだろうな?」
 ゼルガディスは冗談で言ったつもりだった。だが。
 「その逆です」
 軽く受け流された上に、今のセリフを理解するのに約5秒かかった。
 レゾも顔に冷や汗を一筋流してゼロスを見ている。
 「えーと……その逆……ってぇのは……つまり……
  ……俺の方が女になる……って……ことか?」
 「ご名答☆」
 「気に入らん!」
 そう叫んだのは、ゼルガディスでもゼロスでもガウリイでもなく、レゾだった。
 「お前はさっき、『僕とゼルガディスさんの』と言ったな。それは『レゾとゼルガディスさんの』の間違いではないのか?」
 「突っ込むところはそっち!?」
 ゼルの正統派ツッコミは、誰にも聞いてもらえなかった。
 「間違いではありませんよ。だって――えい!」
 ばごっ!
 いきなりゼロスの杖が、ゼルガディスの頭を直撃した。
 「ああっ!なんてことを!」
 レゾが叫んだ、そのとき。
 っぱぁ!
 まぶしいほどの光がゼルガディスを包み、そこにいたのは1人の……
 女だった。
 1部を大きなリボンでまとめてある銀色の細い髪。青みのかかったつぶらな瞳。フリルのついた桃色のドレス。細い腰。そして、ふくよかな胸……。
 「ちょっとちょっとぉ!どーしてゼルの方があたしよりも胸が大きいのよ!」
 リナは叫んだ。だが、その怒りもゼルガディスの姿を見ただけで薄れてしまった。
 そう。そこにいたのは、金属の髪と青い岩肌は変わっていないものの、色仕掛けをすれば100%男をだませるほどの、細腰の美少女だったのだ。
 「……ってぇ……何すんだゼロス……
  ……って、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!」
 ゼルガディスの叫びがこだました。
 「んー……やっぱりよく似合ってますねえ」
 「おいっ!貴様、ゼルに何を……」
 いつの間に復活したのやら。気がついたガウリイが叫んだ。
 ゼロスはちっちっちっと指を左右に振り、
 「ゼルガディスさんじゃありませんよ。
  美しい美しいルルさんですよ♪」
 『…………………』
 一同は、ただ黙るしかなかった。

-To 我がうるわしのルル=グレイワーズ-

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